雑木林とSDGs(持続可能な開発目標)
武蔵野台地の北辺に位置する堀兼では17世紀半ば、玉川上水の開削を行った川越藩主松平信綱の命により
畑作用の新田が開発され、雑木林はその土壌改良剤件肥料として、腐葉土を得る為に植林されたものです。
まさに現代・未来に通じる「循環型農法」の基礎がこの時代に形成されと云えます。
2023年7月6日、埼玉県の武蔵野は国際連合食糧農業機関(FAO)により雑木林の落葉で作った堆肥による
循環農法の地として、世界農業遺産に認定されました。
雑木林は木質の再生産と云う点でも注目すべきものです。雑木林には堅木と呼ばれる楢類が多く、
炭焼き窯で焼くことで硬質で良質な薪炭(堅炭)を得ることが出来ます。こうした観点から観ると、
雑木林は将来の農業、燃料にとってもSDGsを実現する上で大変大きな可能性を秘めたものと言えます。
又、そうした目で広大なこの庭園の佇まいを見ると、今までとは全く違った見え方がしてくることでしょう。
都心では、皇居二ノ丸に雑木林が見られます。勤務先が大手町にあった頃、昼休みによく散策したものです。
2006年に国連気候変動枠組み条約で、木造家屋や木製家具・調度品等の木製品、紙類
(HWP:Harvested Wood Products)が新たに吸収源のインヴェントリーに加えられました。
HWPによる地球温暖化ガスの削減を実現する上で、重要なことは、その積み増す量と耐久性です。
耐久性のある木造家屋や木製調度品・家具が重要であり、我国の伝統文化から云うと法隆寺等の
寺社仏閣、城等がその冴えたる物と云えます。 又、旧古河邸のような木材や木製家具調度品がふんだん
に使われている館を大切に利用・保存するのもSDGsの観点から評価される取り組みと云えます。